賃貸物件の空室対策チェックリスト|募集・内見・申込改善の基本
賃貸物件で退去が出ると、「次の入居者がすぐ決まるだろうか」「家賃を下げるべきか」「設備投資をした方がいいのか」と不安になる大家さんは少なくありません。
不動産会社から「募集しています」「そのうち決まります」と言われても、具体的な反響数や内見数、競合物件との比較が分からなければ、本当に適切な空室対策ができているのか判断しにくいものです。
空室対策で大切なのは、家賃を下げることだけではありません。募集条件、写真、設備、清掃、内見時の印象、申込までの導線を総合的に見直すことが重要です。
この記事では、特定の設備投資や管理会社変更に絞るのではなく、空室対策でまず確認すべき基本項目をチェックリストとして整理します。空室が出たばかりの方も、すでに長期化している方も、まずは自分の物件で何を見直すべきか確認してみてください。
空室対策では、反響がないのか、内見につながらないのか、内見後に申込が入らないのかを分けて考えることが大切です。どこで止まっているかによって、見直すべきポイントは変わります。
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空室対策は募集開始前の準備で差がつく
空室対策は、退去後に慌てて始めるものではありません。解約予告が出た段階から準備を始めることで、空室期間を短くしやすくなります。
特に繁忙期は、入居希望者の動きが早く、判断も早い時期です。募集開始が遅れるほど、競合物件に先を越される可能性が高まります。
解約予告が出た時点で募集準備を始める
入居者が退去してから募集を始めると、その時点で空室期間が発生します。できるだけ早く次の入居者を決めるには、解約予告が出た段階で募集準備を始めることが大切です。
居住中であっても、過去の写真や間取り図を使って募集準備を進めることはできます。退去日、原状回復の予定、内見可能時期を早めに整理しておけば、次の募集にスムーズに移れます。
空室対策では、何をするかだけでなく、いつ始めるかも重要です。
繁忙期はピークを待たずに動く
賃貸市場では、1月から2月にかけて入居希望者の動きが活発になります。近年は、2月下旬には繁忙期のピークが落ち着き始めるケースもあります。
つまり、3月になってから条件を見直すのでは遅い可能性があります。
繁忙期に空室を決めたいなら、1月から2月前半のうちに反響状況を見ながら改善を進める必要があります。反応が悪い場合は、早めに写真、条件、設備、初期費用を見直しましょう。
募集条件は家賃だけでなく総合的に見直す
空室が続くと、すぐに家賃を下げるべきか迷うかもしれません。
しかし、家賃を下げる前に確認すべきことがあります。募集条件、初期費用、掲載情報、競合物件との違いを見直すことで、家賃を大きく下げずに反響を改善できる場合もあります。
家賃設定は周辺相場と競合物件で判断する
家賃設定は、大家さんの希望だけで決めるものではありません。周辺相場や競合物件と比較して、入居希望者から選ばれる条件になっているかを見る必要があります。
首都圏の賃貸市場では高稼働が続き、エリアや物件によっては強気の賃料設定ができるケースもあります。
ただし、すべての物件で強気に出ればよいわけではありません。大切なのは、今の市況と自分の物件の条件が合っているかを確認することです。
築年数、駅距離、設備、広さ、競合物件の募集状況を見ながら、家賃が高すぎないか、逆に安く出しすぎていないかを判断しましょう。
礼金・敷金・初期費用も調整対象にする
空室対策では、家賃だけでなく初期費用も重要です。
入居希望者は、毎月の家賃だけでなく、契約時にいくら必要かも見ています。家賃を下げる前に、礼金、敷金、フリーレント、広告料などを調整することで、反響が改善する場合があります。
繁忙期はまず強気の条件で始め、反応を見ながら礼金や初期費用を調整するという考え方もあります。
家賃を下げると毎月の収入に影響します。一方、初期費用の調整で成約できれば、長期的な収益を守りやすくなります。
空室が続く場合は、家賃を下げる前に、初期費用の見直しで改善できないかを検討しましょう。
募集情報は写真・設備・掲載内容で反響が変わる
空室対策では、ポータルサイトに掲載している情報の見せ方が非常に重要です。
入居希望者の多くは、まずインターネットで物件を比較します。写真が暗い、情報が少ない、設備の魅力が伝わっていない場合、内見前に候補から外されてしまう可能性があります。
写真と清潔感は内見前の印象を左右する
募集写真は、入居希望者が最初に見る情報です。
室内が暗く見える写真、古さが目立つ写真、生活感や汚れが残っている写真では、物件の魅力が伝わりにくくなります。
特にファミリー物件では、水回りの清潔感が重要です。キッチン、浴室、洗面所、トイレ、換気扇まわりなどは、内見時にも厳しく見られます。
ファミリー物件では、清潔感や家事動線が成約に影響しやすいポイントです。
写真を撮る前に清掃を徹底し、必要に応じて水回りや設備の印象を整えることが大切です。
検索される設備を正しく訴求する
設備情報は、ポータルサイトで検索される重要な項目です。
インターネット無料、追い焚き、室内物干し、浴室乾燥機、モニター付きインターホン、スマートロック、防犯カメラなど、入居希望者が重視しやすい設備は、正しく掲載する必要があります。
インターネット無料や室内物干し、セキュリティ設備などは、入居者に選ばれる要素になりやすい設備です。
ただし、設備投資は何でも入れればよいわけではありません。物件のターゲットに合っているか、費用対効果があるかを見て判断する必要があります。
単身者向け、ファミリー向け、分譲賃貸、郊外物件など、ターゲットによって優先すべき設備は変わります。
内見で選ばれる物件にする
反響があるのに申込につながらない場合は、内見時の印象に課題がある可能性があります。
募集情報では良く見えても、現地で清潔感がない、設備が古く見える、ニオイが気になる、照明が暗いといった要素があると、申込にはつながりにくくなります。
水回りやニオイは厳しく見られる
内見時に特に見られやすいのが水回りです。
キッチン、浴室、洗面所、トイレに汚れやニオイが残っていると、入居希望者の印象は大きく下がります。ファミリー物件では、家事をする人の視点で細かく確認されることもあります。
空室対策では、見た目のリフォームだけでなく、清掃の質も重要です。
換気扇の油汚れ、排水口のニオイ、浴室の水垢、トイレまわりの清潔感など、内見者が不安に感じやすい部分は事前に整えておきましょう。
古い設備は壊れていなくても印象を下げる
設備は、使えるかどうかだけでなく、見た目の印象も大切です。
10年以上経過したエアコンは、動作していても黄ばみや古さが目立つと、内見者に不安を与える可能性があります。
エアコン、給湯器、インターホン、照明、水栓などは、古く見えるだけで物件全体の印象に影響します。
もちろん、すべてを新品にする必要はありません。しかし、内見時に目立つ設備や、故障リスクが高い設備は、交換を検討する価値があります。
空室期間が長引く損失と、設備交換にかかる費用を比較しながら判断しましょう。
申込につなげるには反響から原因を見極める
空室対策では、反響、内見、申込のどこで止まっているかを確認することが重要です。
反響が少ないのか、内見が少ないのか、内見はあるのに申込が入らないのかによって、打つべき対策は変わります。
反響が少ない場合は掲載条件を見直す
ポータルサイトで反響が少ない場合は、入居希望者の検索条件に引っかかっていない可能性があります。
家賃、初期費用、駅距離、設備、ペット可否、インターネット無料、写真の印象などを競合物件と比較してみましょう。
特に、同じエリア・同じ間取り・同じ価格帯の物件と比べて、条件が不利になっていないかを見ることが大切です。
掲載しているのに反響がない場合は、管理会社に以下を確認するとよいでしょう。
・どのポータルサイトに掲載しているか
・反響数はどれくらいあるか
・競合物件と比べて条件はどうか
・写真や設備情報は十分か
・家賃や初期費用の見直し余地はあるか
管理会社が本当に募集活動をしているか確認する方法は、以下の記事で詳しく整理しています。
内見後に申込が入らない場合は現地の印象を見直す
反響や内見はあるのに申込が入らない場合は、現地で何かが引っかかっている可能性があります。
室内の清潔感、ニオイ、設備の古さ、共用部の印象、周辺環境、日当たり、騒音など、写真では分からない部分が理由になっていることがあります。
この場合は、管理会社から内見後の反応を聞くことが重要です。
「検討します」で終わっているのか、家賃が高いと言われているのか、設備が古いと言われているのか、他物件と比較されているのか。理由が分かれば、対策も具体的になります。
賃貸の申込キャンセルや申込後の離脱が多い場合は、以下の記事も参考になります。
空室対策は週単位で見直す
空室対策で避けたいのは、募集開始後に放置することです。
募集しているのに決まらない場合は、週単位で状況を確認し、必要に応じて条件や見せ方を調整する必要があります。
毎週、反響数・内見数・申込数を確認する
募集開始後は、少なくとも週に1回は反響状況を確認した方がよいです。
確認すべきなのは、単に決まったかどうかではありません。
反響数、内見数、申込数、競合物件の動き、掲載順位、写真の見られ方などを確認することで、どこに課題があるのか見えやすくなります。
繁忙期は市場の在庫が入れ替わるため、週1回の条件見直しが重要です。
空室対策では、最初に出した条件にこだわりすぎず、反応を見ながら調整することが大切です。
競合物件の動きに合わせて条件を調整する
賃貸市場では、競合物件の状況も日々変わります。
先週まで競合だった物件が成約すれば、自分の物件の競争環境は変わります。逆に、近い条件の新規物件が出れば、反響が落ちる可能性もあります。
そのため、空室対策では自分の物件だけでなく、周辺の競合物件の動きも見ながら判断する必要があります。
家賃を下げるのか、礼金を外すのか、広告料を見直すのか、設備を追加するのか。どの対策を選ぶべきかは、競合状況と反響データを見て決めましょう。
空室改善は管理会社とデータを共有して進める
空室対策は、大家さんだけで完結するものではありません。
募集状況の確認、競合分析、条件変更、内見対応、申込後のフォローなど、管理会社の動きが成約率に大きく影響します。だからこそ、管理会社とデータを共有しながら改善を進めることが大切です。
データを共有してくれる管理会社か確認する
空室が続く場合、管理会社がどのようなデータを共有してくれるかを確認しましょう。
反響数、内見数、申込数、ポータルサイトの掲載状況、競合物件の条件、内見後のフィードバックなどを共有してくれる管理会社であれば、次の対策を考えやすくなります。
一方で、「募集しています」「もう少し様子を見ましょう」だけでは、大家さんは判断できません。
空室対策に強い管理会社は、現状を説明するだけでなく、次に何をすべきかを提案してくれます。
賃貸管理会社の選び方は、以下の記事で詳しく整理しています。
募集活動はリーシングの視点で見直す
空室を早く埋めるには、管理業務だけでなくリーシングの視点が必要です。
リーシングとは、入居者を決めるための募集活動や客付け戦略のことです。空室対策では、入居者が何を求めているか、競合物件がどう動いているかを把握し、募集条件に反映する必要があります。
リーシング専業部署を持つ管理会社であれば、反響や内見、申込状況をもとに改善策を考えやすくなります。
ただ募集しているだけではなく、反響、内見、申込の状況を見ながら改善できているかを確認しましょう。必要に応じて、こうしたリーシングの視点を持つ管理会社かどうかも見直しの材料になります。
まとめ
賃貸物件の空室対策では、家賃を下げる前に確認すべきことが多くあります。
まずは、解約予告が出た段階で募集準備を始め、繁忙期の動きに合わせて早めに対策を進めることが重要です。募集条件、写真、設備、清掃、内見時の印象、申込までの導線を一つずつ見直すことで、空室を改善できる可能性があります。
特に大切なのは、反響数、内見数、申込数を確認し、どこで止まっているかを見極めることです。反響がないなら掲載情報や条件、内見後に決まらないなら室内の印象や競合比較を見直す必要があります。
また、空室対策は一度募集して終わりではありません。週単位で反応を見ながら、管理会社と連携して改善を続けることが大切です。
今の募集条件で本当に決まるのか不安な方や、空室が長引いていて原因を整理したい方は、専門家に相談するのも一つの方法です。第三者の視点を入れることで、家賃設定、設備投資、募集条件、管理会社の動きまで客観的に確認しやすくなります。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、CPM®(米国不動産経営管理士)、第一級海上特殊無線技士、毛筆八段
海上保安庁、賃貸仲介営業を経て、賃貸管理会社である株式会社アートアベニューに入社。大家さんの安心経営を叶えるべく、賃貸住宅の企画・運営をお手伝いしています。
