賃料査定の重要性
賃料査定という言葉や、賃料査定自体がどんなものかは知っていても、査定の「方法」については詳しく知らない方もいらっしゃるかもしれません。今回は、賃料査定の種類と重要性について簡単に解説させていただきます。
収益不動産の購入・経営の基本! 賃料査定とは
賃料査定とは、下記三点を検討するうえで必要となる物件の「現在の適正賃料」を算出することです。
①物件購入時の期待賃料
②物件保有中の募集賃料
③物件売却時の想定価格
投資用のアパートやマンションを購入するとき、一番重視されるポイントはどこでしょうか? 多くの方が、「物件価格」や「利回り」を重視するかと思います。また、「年額の満室想定賃料」などをある程度想定して購入を検討する方が多いのではないでしょうか。
しかし万が一、その想定の賃料が外れてしまっていたら、そもそもの投資計画自体が不安定なものになってしまいます。そのため弊社では、1戸あたりの想定賃料を非常に強く重視しています。
まずは適正な賃料設定をし、逆算して投資計画を考えていきましょう。
■賃料査定の種類
賃料査定の種類は、大きく分けて三つに分けられます。
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①積算法
②収益分析法
③賃貸事例比較法
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①積算法
「元本に対してどれだけの利益が得られるのか」という視点から賃料を算出する方法
基礎価格×期待利回り+運営コスト等÷12ヵ月÷戸数
賃料ではなく、不動産売買取引額を求めるときに有効です。
②収益分析法
「対象となる不動産を利用して事業を行うことでどのくらいの収益を得られるのか」という視点から賃料を算出する方法
ホテル、店舗などの賃料を求めるときに有効です。
今回は居住用の話がメインなので、詳細は割愛させていただきます。
③賃貸事例比較法
周辺の類似物件の賃料と比較して賃料を算出する方法
同エリアの類似物件と間取り・設備・環境などを細かく比較して査定対象物件の賃料を算出していく方法で、居住用物件の賃料を求めるときに有効です。
我々は「コンペア式査定」という名前で呼んでいます。(※コンペア式査定法の詳しい解説はこちら)
建物構造の違いや駅徒歩分数、オートロックの有無やエアコン・浴室乾燥機・独立洗面台など各種設備が整っているかを比較して、査定金額に差を付けていきます。
■根拠のない賃料の決め方はNG!!
正確な賃料査定が必要になる理由として、下記のようなものがあります。
・新築物件の場合
まだ貸し始めていないのに賃料や利回りが設定されている(あくまで「想定」の賃料・利回りである)
⇒ 利回りを魅力的に見せるため、相場よりも高めの賃料設定(査定)がされていないか?
⇒ 現実的な利回りを知るには正確な査定が必要
・中古物件の場合
既に入居している人がいる(その賃料で決まっているという実績)があるからといって、「いま」その賃料で決まるとは限らない
⇒ 長期入居者による現賃料とのギャップはないか?(15年前の賃料で住んでいるから家賃が高いのでは?)
⇒ 売却目的による強引な高額成約をしていないか?(強引に高い賃料で住まわせた人はすぐ退去するうえ、退去後は同じ賃料で貸せない)
⇒ いま貸したらいくらか、の視点での査定が必要
収益不動産の賃料は、明確な根拠もないまま曖昧に・なんとなくの肌感覚で決められていることも多いです。
しかし、現実の市場に即さない賃料設定(査定額)がされてしまえば、毎月の収入はもちろんのこと、物件価値の評価(収益還元法)からすると、将来の売却価格にも大きな影響が出てしまいます。
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【事例】総戸数10戸のマンション
Aさんの査定:9万円 / 戸
Bさんの査定:9.2万円 / 戸
収益還元法(直接還元法)で物件価格を導くと…
物件価格=①年間満室賃料÷②期待利回り
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◆Aさんの場合(査定額9.0万円)
①年間満室賃料
9万円×10戸×12ヵ月=1,080万円
②期待利回り
8パーセント
◆物件価格
①1,080万円 ÷ ②8% = 1億3,500万円
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◆Bさんの場合(査定額9.2万円)
①年間満室賃料
9.2万円×10戸×12ヵ月=1104万円
②期待利回り
8パーセント
◆物件価格
①1,104万円 ÷ ②8% = 1億3,800万円
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上記のように、たった2,000円の賃料の差が、売却時に300万円もの差を生んでしまうこともあるのです。
家賃査定のルールがない不動産会社は、担当者によって設定家賃が異なってしまうことが多々あります。
場合によっては1部屋あたり5,000円~10,000円程度の開きが出てしまうことも。担当者の感覚のみに頼らず、賃料査定においては「明確な根拠を用いて冷静な判断をすること」を常に意識することが重要です。
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原澤 雄太
株式会社アートアベニュー 企画開発課