不動産投資シミュレーションのやり方|15分で一次判断する方法
不動産投資を検討していると、「良さそうな物件なのに、判断に迷っている間に他の人に買われてしまった」という場面があります。
一方で、数千万円から1億円規模の融資を受ける以上、勢いだけで購入を決めるのも危険です。大切なのは、感覚ではなく数字を使って、短時間で「検討を進めるか」「見送るか」を判断できる状態を作ることです。
この記事では、不動産投資の購入判断で使うシミュレーションの考え方を整理します。物件情報を受け取ってから15分程度で一次判断するために、どの数字を確認すべきか、どのように前提条件を見るべきかを解説します。
なお、この記事で解説するのは、物件購入を最終決定するための詳細分析ではなく、検討初期に行う一次判断の方法です。購入判断全体の流れは、以下の記事で整理しています。
目次
未公開物件も!
\ アートアベニューの投資物件はこちら /
不動産投資の購入判断にシミュレーションが必要な理由
不動産投資では、購入判断を感覚で行うのではなく、シミュレーションで数字を確認することが重要です。
なぜなら、販売図面や不動産会社の説明だけでは、実際の手残りや10年後の投資結果が見えにくいからです。表面利回りが良く見えても、空室率、運営費、借入条件、売却価格まで入れて計算すると、思ったほど利益が残らないケースがあります。
優良物件は判断が遅いと逃してしまう
不動産投資では、条件の良い物件ほど早く動きます。物件情報が届いてから何日も迷っていると、判断の早い投資家に先を越されてしまうことがあります。
だからこそ、最初の段階では「この物件を詳しく検討する価値があるか」を短時間で見極める必要があります。
ここで重要なのは、15分で購入を確定することではありません。15分で行うのは、あくまで一次判断です。
・詳しく検討する
・すぐに見送る
・条件次第で再確認する
このように、次の行動を早く決めるためにシミュレーションを使います。
業者のシミュレーションだけで判断しない
不動産会社が提示するシミュレーションは、購入判断の参考にはなります。ただし、それをそのまま信じるのは危険です。
販売用の資料では、空室率や運営費、修繕費、家賃下落などが楽観的に設定されていることがあります。良く見える前提で作られた数字を見て購入を決めてしまうと、購入後に想定より手残りが少ないと気づくことになります。
不動産投資では、借入をして返済するのは自分自身です。だからこそ、業者の数字を自分の分析シートに入れ直し、自分が納得できる前提で再確認する必要があります。
15分で確認したいシミュレーション項目
15分で行うシミュレーションでは、細かい分析をすべて行う必要はありません。目的は、購入を決めることではなく、検討を続ける価値があるかを判断することです。
見るべきなのは、細かな正確性よりも「前提を厳しめにしても投資として成り立つか」です。まずは、物件価格、家賃収入、運営費、空室率、融資条件、10年後の出口を優先して確認します。
物件価格と家賃収入を確認する
最初に確認するのは、物件価格と家賃収入です。
表面利回りは、満室時の年間家賃収入を物件価格で割った数字です。ただし、この数字だけでは購入判断はできません。購入時の諸経費や運営費、空室リスクが含まれていないからです。
それでも、物件価格と家賃収入はシミュレーションの土台になります。ここが現実的でなければ、その後の計算も大きくズレてしまいます。
特に注意したいのは、想定家賃が高すぎないかです。15分の一次判断では、まず販売会社の想定家賃が周辺相場から大きく外れていないかを確認します。詳しい家賃査定まで行う必要はありませんが、明らかに高すぎる家賃で成り立っている物件は慎重に見るべきです。
想定家賃の妥当性については、以下の記事で詳しく解説しています。
空室率と運営費を保守的に見る
次に確認するのが、空室率と運営費です。
不動産投資では、満室がずっと続く前提で計算すると危険です。実際には、退去、募集期間、広告料、原状回復費、修繕費などが発生します。
そのため、15分シミュレーションでは、細かい費用を一つずつ精査するよりも、楽観的すぎない前提になっているかを確認することが大切です。
たとえば、管理料や固定資産税だけでなく、入居者募集にかかる費用や退去時の費用も見込まれているかを見ます。すべての費用を正確に出す段階ではなくても、運営費が明らかに少なく見積もられている物件は注意が必要です。
判断基準としては、多少空室が出てもキャッシュフローが大きく崩れないかを確認することです。楽観的な前提でしか成り立たない物件は、深追いせず再確認する必要があります。
融資条件を入れて毎月の手残りを見る
不動産投資では、融資条件によって結果が大きく変わります。
同じ物件でも、金利、借入期間、自己資金の割合が変われば、毎月の返済額も手残りも変わります。つまり、物件そのものが良く見えても、融資条件が合わなければ投資として成立しにくくなります。
15分の一次判断では、少なくとも以下を確認します。
・借入額
・金利
・借入期間
・自己資金
・毎月の返済額
・返済後のキャッシュフロー
ここで見るべきなのは、細かな融資戦略ではなく、想定される融資条件を入れたときに毎月の手残りが残るかどうかです。金利や借入期間を少し厳しめに見ても成立しない場合は、慎重に判断した方がよいでしょう。
融資相談のタイミングや準備については、以下の記事で詳しく整理しています。
10年後の結果まで見て投資判断する
不動産投資のシミュレーションでは、単年度のキャッシュフローだけでなく、10年後の結果を見ることが重要です。
ただし、この記事で扱うのは、IRRやDSCRを使った詳細分析ではありません。15分の一次判断では、10年後に売却したときの残債と手残りを大まかに確認し、長期的に大きなズレがないかを見ることが目的です。
目先の利回りだけでは本当の収益性は分からない
利回りは分かりやすい指標ですが、それだけで投資判断をするのは危険です。
不動産投資は、購入して終わりではありません。保有中に収益を得て、最終的には売却も含めて結果を見る必要があります。
たとえば、表面利回りが高くても、空室が多い、修繕費が重い、売却しにくいといった要素があれば、長期的な投資結果は悪くなる可能性があります。
そのため、シミュレーションでは「毎年どれくらい手残りが出るか」だけでなく、「10年後に売却した場合にいくら残るか」まで確認することが大切です。
ローン残債と売却想定価格を確認する
10年後の判断で重要なのが、ローン残債と売却想定価格です。
保有中にキャッシュフローが出ていても、売却時にローン残債が多く残っていたり、売却価格が想定より低かったりすると、最終的な手残りは少なくなります。
逆に、保有中のキャッシュフローと売却時の手残りを合わせて、自己資金に対して十分なリターンが見込めるなら、投資として検討する価値が出てきます。
ここでは、細かな指標の計算まで行う必要はありません。まずは「売却想定価格からローン残債を差し引いたときに、手元にいくら残るのか」を確認しましょう。
IRR・DSCR・10年後の純資産を使った詳しい判断方法は、以下の記事で解説しています。
15分シミュレーションは一次フィルターとして使う
15分のシミュレーションは、購入を即決するためのものではありません。目的は、検討を進める価値がある物件かどうかを短時間で判断することです。
すべての物件を現地確認したり、詳細分析したりしていると、時間がいくらあっても足りません。だからこそ、数字による一次フィルターが必要になります。
検討を進めるか見送るかを早く決める
シミュレーションの役割は、「この物件を前に進めるか、見送るか」を判断することです。
数字上で自分の基準に届かない物件は、無理に検討を続ける必要はありません。反対に、数字上で合格ラインに近い物件であれば、次の段階として現地確認や詳細調査に進みます。
この流れを作ることで、物件情報に振り回されにくくなります。
なんとなく良さそうだから検討するのではなく、数字で一次判断する。これが、スピードと安全性を両立させるためのポイントです。
現地確認の前に数字で絞り込む
すべての物件を現地に見に行くのは現実的ではありません。
まずは、届いた物件情報をシミュレーションにかけ、数字上で検討する価値があるものだけを残します。そのうえで現地を確認すれば、時間を効率的に使えます。
現地確認は大切ですが、最初から感覚で見に行くと、建物の印象や営業担当者の説明に引っ張られてしまうことがあります。
先に数字で冷静に判断し、その後に現地で確認する。この順番にすることで、購入判断のブレを減らせます。
買いたい病を防ぐには数字で判断する
不動産投資では、「早く買いたい」という気持ちが判断を狂わせることがあります。
この状態になると、多少条件が悪くても「何とかなる」と考えてしまい、リスクを過小評価しやすくなります。いわゆる買いたい病を防ぐためにも、数字によるシミュレーションが必要です。
この物件を逃したくないという焦りに注意する
物件を探し続けていると、「これを逃したら次はないかもしれない」と感じることがあります。
しかし、この焦りが強くなると、冷静な判断ができなくなります。立地や収支に不安があっても、都合よく解釈してしまう可能性があります。
不動産投資では、買うこと自体が目的ではありません。目的は、資産形成につながる物件を選ぶことです。
そのため、焦っているときほど、シミュレーションの数字に戻ることが大切です。
数字がNOなら買わない基準を持つ
シミュレーションを行う意味は、自分にとっての買う基準・見送る基準を明確にすることです。
どれだけ魅力的に見える物件でも、数字が自分の基準に届かないなら見送る。この判断ができるようになると、投資の失敗を避けやすくなります。
逆に、数字上で納得できる物件であれば、必要以上に迷わず次の確認へ進めます。
感情ではなく数字で判断することが、15分シミュレーションの大きな価値です。
分析結果を自分の言葉で説明できるようにする
不動産投資のシミュレーションは、購入判断を言語化するためにも役立ちます。
なぜその物件を検討するのか、どこにリスクがあるのか、どの条件なら買えるのかを自分の言葉で説明できると、判断のブレが少なくなります。また、銀行に融資相談をする際にも、自分で数字を理解し、説明できることは重要です。
銀行は数字を理解している大家を見ている
銀行が見るのは、物件の評価だけではありません。大家自身が、その投資を事業として理解しているかも見ています。
たとえば、家賃収入、返済額、キャッシュフロー、10年後の残債、売却想定を自分の言葉で説明できれば、銀行担当者にも本気度が伝わりやすくなります。
もちろん、それだけで融資が決まるわけではありません。しかし、数字を理解している投資家の方が、金融機関と話を進めやすくなるのは確かです。
また、自分自身にとっても、数字を説明できる状態は重要です。説明できない投資は、前提条件を理解しきれていない可能性があります。
分析シートは経営計画の土台になる
シミュレーション結果は、購入判断のためだけでなく、購入後の経営計画の土台にもなります。
どのくらい空室を見込むのか、どのくらい修繕費を想定するのか、何年後に売却を検討するのか。こうした前提を整理しておくことで、購入後も計画と実績を比較しやすくなります。
不動産投資を事業として進めるなら、数字を自分で把握し、自分の言葉で説明できる状態を作っておくことが大切です。
まとめ
不動産投資の購入判断では、スピードと慎重さの両方が必要です。
優良物件は待ってくれませんが、焦って買うと失敗につながります。だからこそ、物件情報を受け取った段階で、15分程度で一次判断できるシミュレーションの型を持っておくことが重要です。
確認すべきなのは、物件価格、家賃収入、空室率、運営費、融資条件、10年後の売却想定です。これらを数字で整理すれば、検討を進めるべき物件か、見送るべき物件かを判断しやすくなります。
大切なのは、業者のシミュレーションをそのまま信じるのではなく、自分の前提条件で確認することです。
自分のシミュレーションが合っているか不安な方や、検討中の物件を第三者の視点で確認したい方は、専門家に相談するのも一つの方法です。現役大家や不動産管理の実務を知るプロの視点を入れることで、判断の抜け漏れを減らし、後悔しにくい投資判断につながります。
【無料】15分で判断できる「購入判断分析シート」ダウンロードはこちら >
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、CPM®(米国不動産経営管理士)、第一級海上特殊無線技士、毛筆八段
海上保安庁、賃貸仲介営業を経て、賃貸管理会社である株式会社アートアベニューに入社。大家さんの安心経営を叶えるべく、賃貸住宅の企画・運営をお手伝いしています。
