不動産投資の図面チェック|間取りで確認すべきポイント
新築アパート投資を進める中で、建築会社から提案された図面を見て「この間取りで本当に入居者に選ばれるのか」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。
アパート投資では、土地や建築費、利回りだけでなく、間取りの良し悪しが将来の入居率や家賃維持に大きく影響します。
新築時は「新しい」というだけで入居が決まることもあります。しかし、10年後、20年後も選ばれる物件にするには、図面の段階で住みやすさや使いやすさを確認しておく必要があります。
この記事では、間取り企画全体ではなく、建築会社から提案された図面をオーナーがどう確認し、どこを修正すべきかに絞って解説します。部屋の幅、廊下、有効居室面積、水回り、設備、修正の進め方など、図面上で確認しておきたいポイントを整理します。
新築アパート投資全体の流れは、以下の記事で整理しています。
未公開物件も!
\ アートアベニューの投資物件はこちら /
建築会社の図面をそのまま受け入れない
新築アパート投資では、建築会社から提示された図面をそのまま受け入れないことが重要です。
建築会社は建物を建てるプロですが、必ずしも30年先までの賃貸経営や入居者ニーズを前提に図面を作っているとは限りません。図面チェックでは、建てられるかどうかではなく、貸せる間取りになっているかを見ることが重要です。
最初の図面は未完成のたたき台として見る
建築会社から最初に出てくる図面は、あくまでたたき台として見るべきです。
最初のプランは、完成形ではなく「40点」くらいの状態だと考えておくとよいでしょう。
これは、建築会社の図面がダメという意味ではありません。多くの場合、最初の図面は、その土地にどのくらいの建物が入るか、何戸取れるかを確認するためのボリューム案に近いものです。
しかし、賃貸経営で重要なのは、建てられるかどうかだけではありません。実際に入居者が住みたいと思うか、家具を置きやすいか、長く選ばれる間取りになっているかを確認する必要があります。
ボリューム案と入居者に選ばれる間取りは違う
土地から新築アパートを計画する場合、収支を成立させるために戸数を確保することは重要です。
ただし、戸数を優先しすぎると、居室が狭い、廊下が長い、水回りが使いづらい、家具が置きにくいといった間取りになることがあります。
融資や収支上は成立していても、入居者に選ばれなければ賃貸経営は安定しません。
図面を見るときは、「何戸入るか」だけでなく、「その部屋に住む人が快適に暮らせるか」を確認しましょう。
土地から新築アパート投資の進め方は、以下の記事で詳しく整理しています。
間取りは部屋のワイドで大きく変わる
単身向けアパートの間取りでは、部屋の広さだけでなく、部屋の幅であるワイドが重要になります。
ワイド2600mmを確保できるかどうかは、間取りの質を左右する大きなポイントです。
ワイドが狭いと水回りを一列に並べるしかない
部屋の幅が狭い場合、キッチン、浴室、トイレ、洗面などの水回りを片側に一列に並べる形になりやすくなります。
その結果、玄関から居室までの廊下が長くなり、実際に生活で使える面積が少なくなります。
図面上の専有面積は同じでも、廊下が長い部屋は、入居者が使える居室部分が狭く感じられます。
つまり、間取りの良し悪しは、専有面積だけでは判断できません。どの部分が生活スペースとして使えるのかを見ることが重要です。
ワイド2600mmで水回りの配置に余裕が出る
ワイドを2600mm程度確保できると、水回りを左右に振り分けやすくなります。
水回りを左右に分けることで、玄関から居室までの廊下を短くしやすくなり、居室に使える面積を増やしやすくなります。
このわずかな幅の違いが、生活のしやすさに大きく影響します。
部屋のワイドを見るときは、単に広いか狭いかではなく、水回りの配置、廊下の長さ、居室の形まで合わせて確認しましょう。
廊下を短くして有効居室面積を増やす
賃貸物件の間取りを見るときは、専有面積よりも有効居室面積を意識することが大切です。
有効居室面積とは、入居者が実際に生活スペースとして使える面積のことです。
廊下は家賃を生みにくい面積と考える
廊下は生活動線として必要ですが、そこで暮らすわけではありません。
廊下は「家賃を生みにくい面積」として捉えると、間取りの無駄を確認しやすくなります。
たとえば、同じ20㎡の部屋でも、廊下が長い間取りと、居室部分が四角く広く取れている間取りでは、入居者が感じる広さは大きく変わります。
図面を見るときは、専有面積の数字だけでなく、廊下にどれだけ面積を取られているかを確認しましょう。
四角く使える居室が確保されているかを見る
入居者にとって使いやすい部屋は、家具を置きやすい部屋です。
居室が四角く整っていて、ベッド、机、テレビ、収納などを配置しやすい間取りは、生活イメージを持ちやすくなります。
反対に、部屋が細長い、柱や凹凸が多い、壁面が少ない、家具を置ける場所が限られるといった間取りは、内見時に不利になりやすいです。
図面を確認するときは、入居者が実際に家具を置く場面を想像しながら見ることが大切です。
単身向け新築アパートの間取り企画については、以下の記事でも詳しく整理しています。
水回りと設備配置は図面上で確認する
新築アパート投資では、間取りの形だけでなく、水回りや設備の配置も図面上で確認する必要があります。
建築費を抑えるために設備を削りすぎると、数年後に競合物件と比較されたときに弱くなる可能性があります。
独立洗面台と脱衣所はできるだけ確保する
単身向け物件でも、独立洗面台や脱衣所は入居者にとって大きな魅力になります。
特に女性入居者や、身支度のしやすさを重視する人にとって、洗面台が浴室内にあるか、独立しているかは重要な判断材料になります。
もちろん、面積や建築費とのバランスは必要です。しかし、図面の段階で独立洗面台や脱衣スペースを確保できるかは、必ず確認したいポイントです。
新築だから入居が決まるのではなく、「この部屋なら暮らしやすそう」と思われるかどうかが重要です。
2口コンロやシステムキッチンは見た目にも影響する
最近は自炊をしない入居者もいますが、それでもキッチンの印象は物件全体の評価に影響します。
2口コンロやシステムキッチンは、生活の質や物件のグレード感を伝えやすい設備です。
1口コンロや小さなミニキッチンは、建築費を抑えるうえでは有利かもしれません。しかし、内見者から見ると古い印象や安っぽい印象につながることがあります。
キッチンは、実用性だけでなく、内見時の印象にも関わる設備です。図面や仕様書を見るときは、キッチンのサイズ、コンロ数、作業スペース、収納も確認しましょう。
方位よりも使いやすさを優先すべき場合がある
間取りを考えるとき、南向きかどうかを気にする方は多いです。
もちろん日当たりは大切な要素です。ただし、賃貸物件では、方位だけを優先して使いにくい間取りになるなら、配置を見直した方がよい場合もあります。
南向きにこだわりすぎると間取りが崩れることがある
土地の形状によっては、南向きを優先すると部屋のワイドが狭くなったり、廊下が長くなったりすることがあります。
その結果、図面上は南向きでも、入居者にとって使いづらい部屋になってしまう可能性があります。
方位よりも、ワイドや間取りの効率性を優先した方がよいケースもあります。
日当たりだけでなく、居室の形、家具配置、水回りの使いやすさ、生活動線を総合的に見ることが大切です。
建物の向きを変える発想も必要になる
土地によっては、建物の向きを変えることで、より使いやすい間取りを作れる場合があります。
たとえば、建物を90度回転させることで、部屋の幅を確保しやすくなり、廊下を短くできることがあります。
このような発想は、最初の図面だけを見ていると出てきにくいものです。
図面を確認するときは、「この配置しかない」と決めつけず、別の向きや別プランの可能性も検討しましょう。
図面は何度も修正して完成度を高める
建築会社から最初に出てきた図面で、そのまま建築を進める必要はありません。
むしろ、図面の段階で何度も修正し、完成度を高めることが、新築アパート投資では重要です。
完成後には直せない部分を図面段階で詰める
間取りは、建物が完成してから大きく直すことが難しい部分です。
壁の位置、水回りの配置、収納の位置、居室の形、廊下の長さなどは、完成後に変更しようとすると大きな費用がかかります。
だからこそ、図面の段階で細かく確認し、必要な修正を行うことが重要です。
図面は一度で完成するものではありません。何度も修正しながら完成度を高める前提で進めましょう。
要望は理由を添えて建築会社に伝える
図面の修正を依頼するときは、ただ「気に入らない」と伝えるのではなく、理由を明確にすることが大切です。
たとえば、「廊下が長く居室が狭く感じる」「ベッドを置く場所が限られる」「独立洗面台がないと競合に負けやすい」といったように、入居者目線や賃貸経営上の理由を添えると、建築会社とも話しやすくなります。
具体的な数値や改善したいポイントを伝えることで、建築会社との認識ズレも減らせます。
図面修正は面倒に感じるかもしれませんが、将来の空室リスクを減らすためには欠かせない工程です。
図面チェックでは30年後も選ばれるかを考える
不動産投資の間取りは、新築時だけでなく、長期的に選ばれるかを考える必要があります。
新築時は多少使いにくい間取りでも決まることがあります。しかし、築年数が経つと、新築という強みは薄れます。そのときに、間取りの良し悪しが競争力に影響します。
新築時の強みだけに頼らない
新築アパートは、完成直後は募集上有利です。
ただし、新築という強みは時間とともになくなります。10年後、20年後には、周辺の競合物件と同じ土俵で比較されることになります。
そのときに、居室が狭い、廊下が長い、設備が弱い、家具が置きにくいといった問題があると、家賃を下げないと決まりにくくなる可能性があります。
図面を見るときは、完成直後ではなく、築年数が経った後も選ばれるかを考えることが大切です。
管理会社視点で将来の空室リスクを見る
図面チェックでは、賃貸管理の視点も重要です。
管理現場では、どのような間取りが決まりやすいか、どのような設備が不評になりやすいか、どの部分が退去理由につながりやすいかが見えています。
建築会社の視点だけでなく、入居者募集や管理の視点を入れることで、将来の空室リスクを減らしやすくなります。
図面を見て少しでも不安がある場合は、建築前に第三者の視点で確認することも検討しましょう。
まとめ
新築アパート投資では、建築会社から出てきた図面をそのまま受け入れるのではなく、入居者目線と賃貸経営の視点で確認することが重要です。
最初の図面は、あくまでたたき台です。戸数や建築可能面積だけでなく、部屋のワイド、廊下の長さ、有効居室面積、水回り、設備、家具配置まで確認しましょう。
特に、ワイド2600mmを確保できるか、廊下を短くできるか、四角く使える居室があるか、独立洗面台や2口コンロなどの設備が確保されているかは、入居者に選ばれる間取りを作るうえで重要なポイントです。
また、南向きなどの一般論だけにとらわれず、土地の形状に合わせて建物の向きや配置を見直す発想も必要です。
図面は完成後に大きく直しにくい部分です。だからこそ、建築前に何度も修正し、30年後も選ばれる物件になっているかを確認しましょう。
手元の図面が本当に入居者に選ばれる間取りになっているか不安な方は、専門家に相談するのも一つの方法です。賃貸管理や入居者ニーズを知る第三者の視点を入れることで、完成後に後悔しにくい図面チェックがしやすくなります。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、CPM®(米国不動産経営管理士)、第一級海上特殊無線技士、毛筆八段
海上保安庁、賃貸仲介営業を経て、賃貸管理会社である株式会社アートアベニューに入社。大家さんの安心経営を叶えるべく、賃貸住宅の企画・運営をお手伝いしています。
