建築費高騰時代 のアパート建て替え③ ~供給過多の単身物件は間取りの工夫が必須~【不動産経営お役立ちコラム】

(※この記事は「不動産経営お役立ちコラム」2025年12月号のWEB再録版です)

このコラムでは、大家さんの賃貸経営に日々携わるアートアベニューの社員が、大家さんの不動産経営や資産運用のお役立ち情報を手短に発信してまいります。是非、お付き合いください。

建築費高騰時代 のアパート建て替え③ ~供給過多の単身物件は間取りの工夫が必須~

賃貸住宅は1戸あたりの専有面積を小さくするほど、床面積1坪あたりの賃料が上昇します。東京のあるエリアでは、1坪あたりの賃料が20平米1Kで11,000円、35平米の1LDKで8,400円、65平米の3LDKで6,150円です。

私のように土地を持たない者が土地を購入してアパートを建築する場合、十分な収益を得るには1R・1Kといった単身間取りで収益率を高めるしかありません。

また地主の皆さんにおいても、建築費が高騰する中で収益性を確保するために、間取りを小さくして収益率を高める企画を検討する場面があるでしょう。

だた、供給過剰な単身間取りは、空室増加や家賃下落のリスクも高まるため、競合物件より長期に人気を保てるよう間取りや設備に工夫を凝らす必要があります。入居者のニーズは地域により異なりますが、今回は東京の間取り改善事例からポイントを解説します。

①廊下を減らし有効居室面積を拡大

有効な居室面積とは、廊下などのデッドスペースを除いた居室面積のことです(図参照)。

改善前の1Rは、水廻り設備が1列に並んでいて無駄に廊下が長く、そのぶん有効な居室面積が小さくなっていました。そこで、専有部の幅を2.28mから2.6mに変更。幅が2.6m以上あれば、水廻りを左右に振り分けることができ、廊下も短くなって居室面積が広がります。

<改善前>1R 18.6㎡(2.28m×8.18m) ⇒ <改善後>1K 20.2㎡(2.6m×7.75m)

②独立洗面化粧台+脱衣所の確保

独立洗面化粧台は単身者に人気の設備ですが、都内では脱衣所の面積を確保できず、洗面化粧台だけを廊下に設置する企画も見られます。

しかし、お風呂に入る際に廊下で裸になるのはあまり気分が良いものではありません。できるだけ浴室横に脱衣所を設け、そこに洗面化粧台を置きたいものです。

③システムキッチン+2口コンロ

投資用の建売アパートでは、建築費を抑えるためにミニキッチンを設けるケースがありますが、使い勝手と内見時の見栄えを考えるとシステムキッチン&コンロ2口が望ましいです。

ちなみに、単身用キッチンは幅1200㎜が一般的ですが、居室面積が十分にある場合は、幅1500㎜にするとまな板が置きやすく実用性が高まります。

④採光(窓の大きさ)に気を配る

改善前の居室の窓は半間(幅91㎝)でした。平面図から想像するのは難しいのですが、窓が半間では室内が暗く、内見すると閉塞感を強く感じるはずです。居室の窓は一間(幅182㎝)以上とすることをお勧めします。

 

この事例では、専有部の幅2.28mが諸悪の根源で、これを幅2.6mとすることで①~④の改善が叶いました。

両間取りとも建築費はそれほど変わりませんが、賃料査定では1戸あたり5000円程度の差がつきました。1棟10戸なら年間60万円の賃料差、市場の表面利回りが6%なら、直接収益還元法で1,000万円の物件価格差となります。

新築時、間取りの工夫で収益性や物件の価値を高められるかは大家さんの腕の見せ所です。

弊社では間取り企画のご提案も承っておりますのでお気軽にご相談ください。

このコラムの執筆者:片平 智也

2011年入社。プロパティマネジメント事業を統括する傍ら、全国の不動産会社や業界団体の研修講師も務める。
土地取得から新築したアパートを経営する「大家」でもあり、賃貸管理実務と大家経験から得た知識を、大家さんのお悩み解決に役立てている。
保有資格にCPM®、CCIM、不動産コンサルティングマスター、相続アドバイザーなど。

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