第129回 時代の変化を理解し対応する

前例踏襲ではなく合理的に考える

労働生産力向上を目的にITや外注の積極的な活用を

最近、とても憤慨したことがある。

 

TBSテレビの日曜朝の番組「サンデーモーニング」の名物スポーツコーナーでの張本勲氏の意見にだ。

岩手県立大船渡高校で甲子園を目指す佐々木朗希投手を県予選の決勝戦で、監督が登板回避をさせたあの「事件」のことだ。

 

張本氏は監督に「喝!」を入れ、スポーツに怪我は付き物だ、甲子園の夢を遮った監督は言語道断と言い放ったのだ。

32歳の監督は、佐々木投手の選手生命を考え、決勝では投げないほうがいいという苦渋の決断をした。

若い頃の投げすぎで肩や肘を壊す投手が多いことを知っているシカゴ・カブスのダルビッシュ投手は、即座にこの張本氏の意見を批判、現場の人が判断したことを批判するのはおかしい、このコーナーを消してほしいとツイッターに書き込んだ。

 

そして、張本氏は、「チンピラみたいにべらべらしゃべるもんじゃない」とダルビッシュを批判した。

張本氏の頭の古さ、固さに驚くばかりだし、意見を述べているダルビッシュを先輩づらで上から目線で批判したものいただけない。

 

また、以前は、つまり張本氏が若い時には、年間200万人以上も子供が生まれた時代であり、故障しても替わりのスターが生まれたことだろう、いまは出生数は100万人も切って、またスポーツも多様化して、坊主頭を強要するような野球部に入部する人はどんどん減っている。

その上、こんな頭の固い人が(私は張本氏の見識に一定のリスペクトをしているが)が幅を利かせている野球界には若い子は愛想を尽かすことだろう。巨人戦のナイターのTV視聴率を見れば、一目瞭然だ。

この「時代の流れ」も彼はわかっていないのがイタイ。

このように、我々は「時代の流れを理解しない」、そして「頭の固い」人になってはいないだろうか。

 

そして、もっと柔軟な発想を持ち合わせなければいけないのではないか。

ダルビッシュも「議論をすることに意味がある。そういう考えもあるんだ、と気づくことが大事だ」と言っている。

表1に、頭のカタイ人のチェック表を作ってみた。

▲図表①

 

1「FAXが便利だ」
不動産業界ではいまだFAXが横行している。PDFをメールで送ればいいではないか。

PCが使えないほど高齢な人ばかりというわけでもないだろう。

 

2「屋内禁煙実施はやり過ぎ」
40年前新幹線は全座席喫煙化であった。

20年前、国際線でもJAL便、ANA便は全席喫煙化であった。今では信じられないがそうであった。

発がん性のある副流煙等を他人に強制的に吸わせるのは罪悪である。

オリンピックのある来年4月から、飲食店を含む多くの屋内施設は禁煙となる。東京都は完全禁煙だ。

 

男性の喫煙率はいまは3割程度、女性は約1割。

ずいぶん減ったが、吸っている人はいまだ平気で人前で、お店でタバコを吸う。寿司屋のカウンターでも吸う。

他人に迷惑をかけているという意識がないのが怖い。

それは、「いままでそれで良かったから、お店というのはそういうものだから」だろう。

 

3「女性は事務員で充分」
これはれっきとした女性差別だ。
こんなことをいう経営者なら、即刻会社を辞めたほうがいい。

 

4「男子が育休を取るなんて信じられない」
これはまだまだ大手企業でも浸透はしていないが、しかし、これに反対しているようでは時代の流れに逆行していると言える。

まだ5%程度しか男性は取得していないとのこと。

女性だって仕事をしたいわけで、育児を女性だけがしなければいけないというのでは平等ではない。

女性の社会進出は日本の大事なテーマだ。これはなんとか企業としても乗り換えなければいけない。

 

ただ、10人以下のような会社でなかなか難しいのはわかる。

不動産業界は女性のスタッフが比較的多い職場だ。

彼女らがもっと活躍できる業界にすれば良い人材ももっと入ってくるのではないだろうか。

 

6「年上の人の意見に逆らってはいけない」
本気でそう思っている人はいないと思うが、エリアによっては、年上の人に対してものが言いにくいところもあるようだ。

 

7「営業マンはネクタイをすべきだ」
ある程度のTPOは必要だとは思うが、ネクタイをしないビジネスパーソンは随分と増えていると思う。

ネクタイをしている人のことを好む人もいることだろうが、「ネクタイをしていること」より、「何を話すか」のほうが大事ではないか。

 

8「残業は美徳だ」
残業に対する意識も随分変わった。

弊社で残業を減らす運動というか、私が早く帰っていい、早く帰ろう、と言い出しただけで、皆早く帰るようになった。

結局、遠慮していたんだと思う。

 

そして、結果として売上が落ちるわけではない。要するになんとなく残っていたんだろう。

今日は午後6時に帰る、と決めたらそれまでに仕事を終えようと誰もが頑張るのではないか。

今日もいつもどおり午後9時まで残業だとおもえば、その時間になってしまうような働き方をしてしまうのだ。

 

昨今、賃貸管理の現場でもRPA(一定の単純作業を人がやらずシステムで行う)の導入や、BPO(社内業務を外部に委託すること)やIT化(IT重説や電子契約など)の議論が盛んになってきた。

「賃貸管理の労働生産性の向上」についての話題が多くなってきたのは大変良いことだと思う。

 

9「メモは紙のノートに限る」
以前にも書いたが、メモにもいろいろあるが、たとえば会議の議事録を紙のノートに書いているようでは、効率が悪いだろう。

エバーノートや、せめてワードやエクセルでデジタル化したほうが、メールでも送れるし他のスタッフと共有しやすいではないか。

かさばらないし、管理もしやすい。そのためには、スタッフにノートPCを買い与えなければいけない。

私は「紙」は最終的には残ると考えているが、その使い分けについてビジネスパーソンは自分なりのポリシーを持つべきだと思う。

 

10「営業は気合・根性、夜討ち朝駆けが大事」
こういう感覚をもっている経営者は多い。

足繁く通うことで活路が見いだせるのだ、と自分の成功体験を語る。

それも一つのやり方かもしれないが、もっと合理的に考えたい。

もっと「仕組み」で売れないか。

 

「気合のトップ営業マン」を評価する人は多いが、そのノウハウというか姿勢を普通の営業パーソンに浸透させ平準化することは難しい。

そして、その「トップ営業マンが」が退職するといきなり全体の数字が落ちるのだ。

私は、「以前からやっていた」からという前例踏襲主義というか、物事を本質的に見ない姿勢は大いに改善すべきだと思う。
そして、この令和という時代は、大きくパラダイム・シフトが起きる時なのだ。我々は大きく変わる時代の節目にいるのだ。

ものごとをしっかり見つめなければいけない。

藤澤 雅義(Mark藤澤)

アートアベニューの代表取締役であると同時に、全国の賃貸管理会社を支援するコンサル企業:オーナーズエージェント株式会社の代表取締役も務める。

しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に時津風部屋)を応援している。