家賃の上昇 トレンドに乗るためには?データで紐解く値上げの実態と基本戦略

賃貸業界では、長らく「家賃とは新築時をピークにゆるやかに下落していくもの」という認識でした。

しかし、ここ数年はついに「家賃上昇」の風が吹き始めたと言われています。

全国賃貸住宅新聞社が国内105の不動産会社に行なった調査においても、「管理物件の家賃を値上げした」と回答した会社は7割超。賃貸経営者としては、昨今の物価高や金利上昇に対抗するためにも、是非この「風」を捕まえたいものです。

ただし、風の吹き方は地域や物件によって千差万別。いつまで吹き続けるかも、神のみぞ知るところです。今回はさまざまな調査データから、家賃上昇の実態を紐解いてみましょう。

物件価格や運営費の高騰で需給バランスに変化

賃貸住宅の賃料は、原則として「借りたい=需要」と「貸したい=供給」のバランスによって決定されます。

つまり、需要に対して供給が多すぎれば家賃は上がらず、逆に供給が足りない状況では、何もしなくとも家賃は上昇していくということです。

とはいえ、昨今の家賃上昇は、純粋な需給のみで形成されているのではありません。

国土交通省の発表する「不動産価格指数(2025年3月)」によると、2010年の平均値を100とした指数は、今や住宅総合で148.6、マンションに至っては220に。15年前の1.5~2.2倍という住宅価格の高騰が、「買えないので借りたい」という需要と、「高く買ったからには一定金額以上でないと貸せない」という供給を結び付け、歪(いびつ)な家賃上昇を生んでいるのです。

加えて、貸し手側の求める家賃には、物件価格のみならず資材やエネルギー等の運営費も関わります。

一般財団法人建設物価調査会のデータによれば、2010年を100とした「建設物価指数(全国総合2025年1月)」は140を超え、電気代などのエネルギー費の高騰もご認識の通りです。ここに変動金利の上昇まで加われば、家賃相場に上昇の圧力がかかるのは当然ともいえるでしょう。

家賃が上がる物件・上がらない物件の格差も拡大傾向

しかしながら、この家賃上昇トレンドも、全国均一に広がっているわけではありません。都市部と郊外では都市部のほうが家賃上昇の勢いが強く、また全国的に見れば、日本有数の大都市であっても市況には差が生まれています。

例えば、東京近郊のほか大阪市、札幌市、仙台市、名古屋市、京都市、福岡市等の賃料指数を算出している「マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社・三井住友トラスト基礎研究所)」によると、大阪市が10年前から右肩上がりで1.3倍近い数字をつける一方で、名古屋市と仙台市は“横ばい”に近いグラフを形成しています。

昨今の市況を見れば、この2都市の家賃が上がっていないはずはないのですが、それが横ばいということは、「家賃の上がっている物件もあるが、下がっている物件も多い」ということでしょう。

つまり、エリア内で物件ごとの“格差”が拡大し、立地や間取りや設備など「高家賃の条件」を備えた物件のみが家賃を上げている状況が想像できるのです。そしてこの格差は、程度の差こそあれ全ての地域に必ず存在します。家賃の値上げを狙うなら、まずはその家賃を払うに見合う“条件”を物件に付与することから始めるべきでしょう。

市況分析と追加投資で「目標家賃」の土俵に乗せる

「高家賃の条件」はさまざまですが、最も手を加えやすい条件が“設備”です。

もし、目指す家賃価格帯の物件が「インターネット無料」や「温水洗浄便座」「浴室乾燥機」「宅配ボックス」などの人気設備を備えているなら、同じ土俵で戦えるよう、所有物件にもそれら条件設備を導入して物件価値を押し上げましょう。

そのためにも欠かせないのが、競合物件の調査と募集戦略の構築です。

これには市場をよく知っていて、実際に仲介会社と連携して募集業務を行なう賃貸管理会社に意見を聞いてみるのが一番。管理会社とタッグを組み、家賃値上げのチャンスがないか、どんな設備を導入すれば家賃を上げられるかを検証しましょう。データとしては、リクルートの「賃料・設備相場チェッカー」や、LIFULL HOME’Sの「見える!賃貸経営」などのウェブサイトの情報も役立ちます。

また、家賃を値上げするチャンスは、新規募集時に限られません賃貸借契約の更新・再契約時も、市況に応じた価格帯へと家賃を上げる好機です。

競合物件を調査する中で「うちの物件、相場より安いかも?」と感じたなら、更新時に賃借人との交渉を検討してみるのも手。さすがに、ニュースにもなった「家賃を2.5倍に値上げ」等の要求は論外としても、相場に見合った金額であれば交渉成立の可能性は十分にあります。

最後にひとつ押さえておきたいのは、家賃の値上げは入居者の“懐事情”にも大きく影響を受けるという点です。

厚生労働省の発表する「毎月勤労統計調査」の「実質賃金指数」は、2025年に入ってから減少が続いており、世間では不動産価格や家賃の頭打ちを予想するニュースも出始めています。

適正値を外れた強気の家賃設定にこだわるあまり、大きな空室損を招いてしまっては本末転倒。日頃から地域や市場のデータに関心を持ち、収集・分析を心がけ、家賃上昇の好機を掴むべく準備を整えておきましょう

■賃料・設備相場チェッカー

https://www.suumo-onr.jp/checker

 

■見える!賃貸経営

https://toushi.homes.co.jp/owner/

 

賃貸経営のご相談はLINEからお気軽にどうぞ

ここまでお読みいただきありがとうございます。 アートアベニューは豊富な賃貸管理ノウハウでオーナー様の安定経営をお手伝いします。 不動産投資・賃貸経営のお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

まずはLINEで友だち登録